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一滴の夏/野呂邦暢=著
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集英社刊
集英社文庫 67B
第1刷−1980年1月25日発行
文庫判・並製・カバー巻・本文270P
発行当時の定価:240円
ISBN:9784087502947
弊社在庫管理番号:071113010117
★内容:
故郷を捨てた二十歳の青年が、一年の放浪の後、洪水でめちゃめちゃになった故郷へ帰ってくる。荒れた町を憑かれたように徘徊する彼の内部に、荒涼としたものに立ち向かう青春の意志が芽生える…。鬱屈した青春の憂悶を生き生きと描いた表題作他六篇を収録。高橋英夫・解説。
(カバー巻末面の内容紹介より)
…この作家は文体の洗練された濃度や、外界の諸々の事象を映し出す抒情的レンズの輝かしさを持っており、それが変りなくその作品を特徴づけているが、その反面で作風の展開もしだいに感じられるようになってきたという感じがするのだ。…
「一滴の夏」は、作風からいうと、この作家の第一期の諸作をしめくくるような仕事として位置づけられる。
事実、「一滴の夏」のあと、作者は素材を歴史および戦争に求めて、仕事の拡大と転換を計るにいたった。…
とまれ、野呂氏は愛惜するに値する青春というものがあると感じている人物であり、そういう青春の表現に最もふさわしいのは何かという問題を、常に体の中に保っている作家である。そこから、二つの傾向があらわれることになるが、その一つは、愛惜される青春の日々というものを、なるべくなら手つかずのまま、歪曲や変形を起さずに、そのまま作品の中に掬いとろうとする傾向で、…これらにあっては、作者の若かりし日々のすがたが、かなり忠実に描かれているに違いなく、…一つの青春の鬱屈した流れをほぼ余すところなく辿ることができよう。…
これに対してもう一つの傾向は、…人生の一齣をきっちりと切り取って、密度の濃い静物画のようにその一齣を緻密に描き込もうとする傾向である。…この傾向の作品で、作者はさまざまな文学的実験を試みてきたのは、指摘しておかねばならない。
…野呂氏はたとえていえば心象風景の凝視者であるが、風景を求めている画家は、言うまでもなく対象を世界の全体から切り取るのである。それならばいかにして、どの大きさでそれを切り取るかという問題に、彼は不可避的に取り組まざるをえず、そこにこの作家の文学的問題の核心があらわれてくるであろう。
(解説〈高橋英夫〉より)
★状態:並下
【帯】なし。
【カバー】背にややヤケ(褪色)があり、全体的にもヤケ・ホコリヨゴレ・コスレが少しあります。巻頭面の上部に弱い折れがあります。
【表紙】背がややヤケ(褪色し)ており、巻頭面・巻末面のノド側上部に折れがあります。
【本体】周縁部にやや強いヤケ・ホコリヨゴレがあります。巻頭側約100ページの上部に折れ痕があります。底面にヨゴレと傷みがあります。
【本文】ページの周辺部にやや強く、その他も全体的に経年相応のヤケ・ホコリヨゴレがあります。本文中に線引き・書き込み等はありません。
【その他】集英社文庫新刊案内付き。
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